『受付嬢 フランソワーズ・アルヌールの朝』
(3→9→4)
受付嬢の朝は、早い。
「おはようございます!」
「おはようございます」
挨拶を交わしながら行き交う人々を笑顔で見守りつつ、自身も挨拶を返す。
「おはようございま〜すv」
(株)ブラックゴーストの看板娘(自称)、受付嬢のフランソワーズ・アルヌールは、とある人物の出勤を待っていた。
「ねえねえ、ジェロニモ。もうすぐ島村さんの出勤時間よ〜vワタシの笑顔はどう?今日もキラキラと輝いてる??」
もう一人の受付嬢であるジェロニモを小突きながら、フランソワーズは尋ねた。
「・・・いい笑顔だ、と思う」
ジェロニモの答えに、フランソワーズの笑みの輝きがアップした。
今日こそ!!今日こそ島村さんに声をかけるのよっ!!!!
受付デスクの下で、フランソワーズは拳をグッと握り締め、決意を固めた。
営業部のエリート職員である、島村ジョー。
笑顔が爽やかなその人に、フランソワーズはお熱なのであった。
島村さんはカッコイイし、エリートだから将来も安泰vお買い得物件よ〜vvvワタシはこんなに可愛らしいし、島村さんとは似合いの一対よ!他所の女に掻っ攫われないうちに・・・!!
「おはようございます」
入り口の自動ドアに、栗色の髪の人物が現れた。
フランソワーズが待ちに待った、島村ジョーの登場である。
「ジェロニモっ!島村さんよ、島村さんよ〜vvv」
先ほどよりも更に激しくジェロニモを小突くと。
「見れば分かる」
つれない返事が戻ってきた。
「んもう!そんな意味で言ってるんじゃないのっ!!」
そうこうしている間に、ジョーは受付の方に徐々に近付いてきた。
「おはようございますvvv」
ニッコリと天使の微笑を浮かべつつ、挨拶をすると。
「おはよう!今日も一日頑張ろうね」
爽やかな挨拶が戻ってきた。
さあ、今がチャンスよ!!
「あの、島村さん・・・!」
フランソワーズが声をかけたのと同時に。
「あ、ハインリヒ〜!!」
ジョーはひどくウキウキしたような口調になり、フランソワーズの前から素早く駆け去った。
彼の視線の先には・・・社長付き(営業部兼務)である、アルベルト・ハインリヒの姿があった。
(つい先ほど挨拶をしながら受付の前を通り過ぎたのだが、挨拶を返したにも関わらず、フランソワーズはアウトオブ眼中)
「ねえねえ、ハインリヒ!調子はどう??今日は社長のお供?それとも営業部の方に顔を出すの??もし営業部に来るんだったら、一緒にお昼食べようよv」
「今日は営業部の方にも顔を出すつもりだ。そうだな・・・お前の都合が良いのなら、一緒に昼食でも摂るか?」
「もうバッチリ、大丈夫v約束だよ!!」
男二人は仲良く会話を交わしながら遠ざかっていく。
「・・・・・(怒)」
「フランソワーズ?どうした??」
「何なのよ、何なのよ、あの男は〜!?キーっ!!島村さんはワタシのモノなのよっ!!いつも邪魔して、もうもう、許せな〜い!!」
「いつも島村の方からハインリヒに近付いて・・・」
「ジェロニモは黙っててっ!!」
心の中で怒りつつも。
「おはようございます」
そう声をかけられれば、受付嬢スマイルで、
「おはようございますv」
挨拶しなければならない。
「ああ、なんて因果な商売なんでしょうねぇ・・・」
刺々しい口調でこぼしながらも、キッチリ仕事はこなすフランソワーズ。
「おはようございま〜す」
「はい、おはようございます」
いつか必ず島村ジョーをゲットしてみせるという野心と共に、彼女は健気に(?)会社生活を送っているのであった。
〜END〜
◆コメント◆
受付嬢おフランさんを、私はこのように想像しています(笑)。
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