「いえ、折角の親子水入らずを邪魔するなんてとんでもない!今回は遠慮しておきます」
 遠慮して答えると、木村は照れたように笑った。
「や、別にお前が入ってもあまり変わらないと思うけどな。一人、弟が増えた感じでさぁ」
「はあ・・・」
(弟、ですか・・・(涙))
 板垣はすっかり意気消沈してしまった。
 とりあえずと、カバンをゴソゴソと漁り、準備しておいたプレゼントを渡す。
「木村さん、これ・・・。お誕生日、おめでとうございます」
「え?」
「今日の日にって思って、準備しておいたんです。貰ってくださいね」
木村がニコリと笑った。
「ありがとな。お前のその気持ちが嬉しいよ」
 クシャリと頭を撫でられ、板垣は本当に泣きたい気持ちになった。
「じゃあ、お誕生日パーティー、楽しんでくださいね」
「そんな大袈裟なもんじゃないけどな。サンキュv」
 満面の笑顔。
(その笑顔が見られただけ、嬉しいかな・・・)
 などと殊勝な事を思い、板垣はロッカーへと向かった。




END






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