香り
(100のHなお題からお借りしました)


質問をお借りしたサイト様→


*ご注意*
今回の話は、スウィートハニーの表に置くにはちょっとえっちなお話です。
でも一歩は裏部屋ないので、表にアップしてしまいました(滝汗)。
なお話なので、えっち表現が苦手な方は、回れ右をお願いします。
OK、父さん!!という方は、スクロールしてご覧下さい。





































 あなたの声が、高く跳ね上がる。
『ん・・・っ。オレ・・・もうっ・・・!!』
『木村さん・・・』
 フッと耳元に息を吹きかけると、あなたの身体も跳ねた。
 温かなあなたに心地よく包まれて。
『あ・・・ああっ・・・』
 ギュッとしがみついてくるあなたの腕。
 瞳に浮かぶ涙を、そっとキスで拭った。
 オレももう、限界が近い。
『っ!木村さん・・・』
『・・・・宮田ぁっ!!』
 あなたを抱きしめたまま、沈む。
 シーツの海へ。




 つい先ほどまで確かに、あなたがオレの隣で眠っていたのに。
 この腕の中にあなたを抱いたのは、つい先ほどのように思えるのに。
 今はもう、あなたはいない・・・。
 この腕の中の、あなたの温もりが消えて行きそうで怖い。
「木村さん・・・」
 名前を呼んでも。
 もう、あなたはいない。
 ベッドの上でくしゃりと皺になっているシーツに、顔を埋める。
 鼻腔をくすぐる、微かに、甘い香り。
 それは。
 ・・・あなたの、香りだ・・・。



『アンタ、何か香水とかつけてます?』
『え?どうして??』
『いつも、いい香りをさせているから・・・』
『別に、何にもつけてねえよ。花の香り、とかか?ホラ、オレん家、お花屋さんだしv』
 他愛の無い会話。
 そう言って、微笑んだあなたを思い出す。
 花の香りとも少し違う。
 何かに例えるのなら。
 まるで、優しい春の日差しのような。



 ほんの少し前まで一緒にいたのに。
 もう会いたくて仕方ない。
 今、会いたい。
「木村さん、木村さん、木村さん・・・」
 何度も何度も、名前を呼ぶ。
 仄かにあなたの香りがするシーツを、ギュッと握りしめて。
 あなたの香り、あなたの温もり、あなたの笑顔。
 あなたの全てが恋しい。
 今すぐに、あなたに会いたい。



 のんびりと家路に向かって歩くあなたの姿。
「きっ、木村さん・・・っ」
 追いつこうとして全力で走って来たため、オレは情けないほどに息が上がっている。
 日頃の鍛錬が足りないとか、笑われてしまいそうだ。
 でもあなたは、不思議そうにオレを振り向いただけだった。
「どした?」
 何も言わずに、オレはただ、あなたを抱きしめた。
 あなたの温もりが愛しい。
 あなたの髪から、肩口から。
 あなたの香りがした。
「アンタに、会いたくて・・・」
 まるで、子供の我儘のように。
 あなただけが、恋しい。
「さっきまで、一緒だったろ?」
「それでも・・・」
「宮田君は、甘えん坊だなぁ・・・」
 笑いを含んだ声であなたは呟いて、オレの頭を撫でてくれた。
 子ども扱いされるのは嫌いだけれど、今はそんなことはどうでもいいような気がした。

 あなたを抱きしめたまま、オレは思いっきり息を吸って。
 優しいあなたの香りを、胸の中にたっぷりと吸い込んだ。



〜 END 〜


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「100のHなお題」から、「002:香り」をお借りしました。
すごーく短いです。
しかも、またまた宮田くん視点になってしまった・・・。
「香り」というと、木村さんがお花屋さんだというのもあって、
木村さんに対するフローラルの香りのイメージというか、何というか。
シーツの残り香をネタとして使いたかっただけです。
宮田くん、情けなくしちゃってゴメンよ・・・。





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