[宮木or木宮10題]

2//2つ違い





 歳の話になると、宮田は急に、機嫌が悪くなる。
 理由を聞いてみたら。
 憮然とした表情で、宮田は答えた。
「幾つになってもアンタを追い越せないと思うと、悔しいんですよ」

 やっと一つ追いついた!
 と思ったら、すぐにまた、二つ違いになるのが不満らしい。
「アンタが時々、俺のコト子供扱いするのも気に入らないんですよね。俺ももう、子供じゃありませんからね」
 それはもう、不満そうに。
 宮田はそう言うが。

 別にイイじゃないか。

 そう、俺は思う。
 だってさ・・・。

「歳を追い越すのは、絶対に無理だけどな・・・」

 けれども。
 もうとっくに、俺を追い越してるじゃないか。
 背だって体格だって。
 態度だって、お前の方がずっとオトナだ。
 お前の方が、俺よりずっと、いろんな面で上を行ってるんだから。
 いいじゃないか。
 たまには、子供扱いさせてくれたって。

 そうでもしなきゃ、俺の年上としてのプライドってヤツが可哀想だろ??

「俺はアンタをしっかりと支えてやれるような、度量の大きい男になりたいんですよ!せめてアンタと同じ歳だったら・・・もっと・・・」
「ありがとうな、宮田。その気持ちだけで嬉しいよ」
 そう言って。
 ポンポン。
 頭を撫でてやると、宮田はキッと俺を睨み付けた。
「だからアンタは!子供扱いして欲しくないって、言ったばかりでしょうが!?」
 宮田一郎、不機嫌マックス。
 不貞腐れている様が、可愛い。
 ・・・なんて言ったら、もっと怒るだろうなぁ・・・。
 けれども。


 普段はひどく大人びた態度を取る宮田に、振り回されっぱなしだから。

 いいじゃないか、二つ違いで。
 俺の方が年上で、いいじゃないか。

 その方が、バランス取れてるって。



「なあ、宮田」
「何です!?」
「お前が思ってるより、ずっと。俺はお前に頼ってるし、支えてもらってると思ってる。だから、少しぐらい子供扱いされたからって、怒るなよ。な?」
 まだ不満そうな顔で、宮田が俺に視線を走らせる。
「本当にそう思ってます?」
「うん、ホント」
 軽く答えて、頬にチュッとキスをした。
「木村さんっ!?」
「ん?何??」
「アンタって人は〜っ」



 たまには味あわせろよな、オトナの優越感。
 二つ年下のお前を、ほんのたまに、子供扱い。

 立場の逆転ってのも、イイだろ?




〜 END 〜




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「誕生日が悔しい。幾つになっても君を追い越せない」
というような歌詞の歌を、昔知っていまして。
今回の元ネタは、それです。
ウチの宮田くんは普段は大人な設定なのですが、
木村さんに子供扱いされるとムキになって怒ります(笑)。
そんな話が書きたかったのですが。





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