[宮木or木宮10題]

4//コンビニ





 何気なく、家の近くのコンビニに足を踏み入れた。
 雑誌やら水やらを適当に物色して、レジに持って行く。
 レジを打っているのは、若い男だった。
 大学生ぐらいだろうか?
 その姿を見て。
「あ・・・!」
 思わず、声を上げてしまい、学生は怪訝そうな視線を木村にあてた。
 どことなく、居心地が悪いような気持ちになる。
 支払いを済ませ、木村はそそくさとその店を出た。



 声を上げてしまったのは、ふと、ある人物の姿が頭に浮かんだからだ。
 その人物のバイト先も、コンビニだった。
 少し足を伸ばして、そのバイト先まで出向けばよかった、と、突然に思って。
 ここしばらく、声も聞いていない。



 買い物を済ませ、家に帰るはずの身体が、別の方向に向かって進む。
 青い空の下、てくてく、てくてく、木村はただひたすら歩いた。
 アイツは、驚くだろうか?
 今日はバイトが入っていないという可能性もあったが、それならそれで良いと思った。



 とあるコンビニの自動ドアがシュンと音を立てて開く。
「いらっしゃいませ」
 そして、こちらに向けられた瞳が丸くなる。
 ヒラヒラと手を振って合図すると。
 頬が、微かに上気した。
 レジの前を通り際、
「どうしたんですか、突然?」
 そんな問い掛けに一言。
「会いたかったから」
 ごくごく簡潔に答えると、無表情と評される表情が綻んで。
 その頬に、パッと笑顔が弾けた。



〜 END 〜


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ネタがパッと浮かんだのですが、思いっきり簡潔な話に(汗)。
話の短さの最短記録かも・・・。
最後の段落が書きたかっただけなので、話の短さもお許し下さい。






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