ロイエンタール&リモージュちゃん
(ロイリモ名付け編)





 子供が生まれて病室に戻ってきたアンジェリーク。

「オスカー、二人に名前をあげなくちゃ。どんな名前がいいかしら?」

「名前?アンジェリークにちなんだ、アンジェリオとかアンジェリナがいい。」

「・・・・・・、本気で言ってるの?もうちょっと考えてあげて。」

「なぜだ?いい名前じゃないか。」

「・・・・・・・・・もういいわ。私が考えます。」

 アンジェリークは相変わらずの溺愛振りに呆れ、まともに聞く事をあきらめると何がいいか考え始めた。

 そんな妻のつれない態度に内心傷付きながらも、ロイエンタールには譲れないところがあるらしい。

「アンジェリオとアンジェリナが駄目なら、せめて天使の名前をつけてくれ。」

 理由が想像できるような気もするが、一応聞いてみるアンジェリーク。

「それはいいけど・・・、何か理由があるの?」

 それを聞いてなにやら力を得たように大きくうなずく。

「おまえのように優しい子になるように。俺にとってなによりも誰よりも大事なのはおまえだ。だから子供にもアンジェリークに通じる名前をつけて欲しい。」

 思いのほか真剣な口調で言う夫に驚くアンジェリーク。

「俺にとってはおまえこそが幸せの象徴なんだ。」

 そういってロイエンタールはアンジェリークに口付けた。

 周りに看護婦さんもいるのに・・・、と恥ずかしそうに顔を赤らめるアンジェリーク。

 そんな反応を見て、ますます嬉しそうに笑うロイエンタール。

 ________、結局子供が生まれてもラブラブな二人である。



 

 そして数日後。

 今日も仕事を早めに切り上げ、病室に寄ったロイエンタール。入るとすぐに嬉しそうなアンジェリークを見つけた。

「オスカー。今日も来てくれたのね、ありがとう。」

 嬉しそうなアンジェリークを見て、自分も嬉しくなってしまうロイエンタール。

「今日はおまえの好きな花を持ってきた、あと果物も。他になにか欲しいものはあるか?」

 渡された薔薇の花束を嬉しそうに抱えるアンジェリーク。

「ううん、ないわ。綺麗ね、嬉しいわ。」

「今日はいつもより楽しそうだな。なにかあったか?」

 それを聞くとますますアンジェリークの笑顔は輝く。不思議そうな顔をするロイエンタールに告げられたことは。

「あのね・・・、名前が決まったの。聞いてくれる?」

「ああ、俺の望みは入れてくれたのか?」

「ええ、男の子はクリスティル・ミカエル・フォン・ロイエンタール。

 そして女の子がレティシア・ガブリエル・フォン・ロイエンタールよ。いいと思う?」

 最後にちょっと不安げにみつめて問いかけるアンジェリークにロイエンタールは満面の笑みで応える。

「もちろんだ。いい名前じゃないか、ありがとうアンジェ。」

 自分の希望も入り、かなり満足げなロイエンタールである。

「これで名前が呼んであげられるわ。よかった。」

「きっとおまえに似たいい子に育つだろう。」

「あら?私はあなたに似ても嬉しいのに。クリスの顔なんてあなたにそっくりだし。

 それにこの子たちの瞳もとても綺麗じゃない?」

 ロイエンタールと全く同じ瞳の色を思い出して言うアンジェリーク。

「この瞳の色に似てしまうなんて・・・、おまえの翠の瞳がよかったのに。」

「そんなこといわないで。私はあなたの瞳が大好きよ。」


 いまだに過去の呪縛から逃れられないような発言をするロイエンタールを抱きしめて優しく言い聞かせるアンジェリーク。

「覚えていてね、たとえあなたがその瞳を嫌いでも、私は大好きよ。私の愛する人のものなのだから。」

 それから少し微笑むと、

「きっとあなたも好きになるわ。だって私たちの愛しい子供の瞳の色でもあるのだから。」

 それを聞いて、ロイエンタールも少し笑った。

 そうして穏やかな時間が過ぎている中、ふいに思いついたようにアンジェリークが言った。

「今度他の提督方もご招待してこの子たちのお披露目をしましょう。」

 それがいいわ、と言い出すアンジェリークに頭を抱えたくなるロイエンタール。

 結婚してからもうるさい自分の同僚達をなぜ招待などしなくてはいけない、と思いなんとか反論しようとする。

「いや、しかし奴らも忙しいし。内々で、そう、ミッターマイヤー夫妻ぐらいでよいだろう?」

「でも皆さんを呼ばないわけにはいかないわ。いつがいいかしら・・・。」

 予定まで立て始めたアンジェリークは止められない。憂鬱になってきたロイエンタールだが、よくよく考えた。

 子供を見せればさすがにあいつらでも諦めるだろう、と思いなおすと招待に賛成しだした。

「そうだな、やはり周りには報告するべきことだ。一日も早く子供たちを見せよう。」

 いきなり変わった態度に不思議そうにしながらも、よかった、などといいながら喜ぶアンジェリーク。

「明日には退院できるわ。そうしたら一日でも早く皆さんを招待しましょう。」

 双子だと知ったら皆さん驚くかしら、などと言っている。

 そんなアンジェリークを見つつ、ロイエンタールは周りの反応を想像してひとり口の端だけで笑みをつくった。

 

 実際にはロイエンタールの想像は見事に外れ、かつてのライバルたちは子供に会う事を口実に以前よりも押しかけてくるようになるのだが、まだそこには思い至ってはいないのだった。





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妊婦編・出産編に続く、名づけ編です♪
やっぱりロイとリモちゃんはラブラブで、嬉しい限りです。
子供の名前も素敵ですよね〜。
ふみふみは、子育て編に突入して、子供とリモを奪い合うロイエンタールも見たいです、茉莉花様。
そしてふみふみは、提督たちをご招待した、お披露目編を書きたい(笑)。
と、いう訳で、お披露目編を書かせていただきました。
やっぱりお邪魔虫提督たちを書くのは楽しいです♪
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